介護業界で働いている方であれば「ホームヘルパー」という言葉を聞いたことがあると思います。
これは、訪問介護員のことを指し、ホームヘルパー1級、ホームヘルパー2級、ホームヘルパー3級以外に、介護職員基礎研修という資格がありました。
しかし、ホームヘルパー3級は2009年に廃止され、ホームヘルパー1級・2級・介護職員基礎研修は2012年に廃止されました。
また、現在ではホームヘルパー2級が介護職員初任者研修へ、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修が実務者研修へと移行されました。わかりやすくまとめると以下の通りです。
- ホームヘルパー3級 … 廃止
- ホームヘルパー2級 … 介護職員初任者研修
- ホームヘルパー1級 + 介護職員基礎研修 … 実務者研修
訪問介護全盛期で頻繁に耳にしたホームヘルパーという資格は、このように全て廃止となったのです。
では、廃止された代わりに生まれた介護職員初任者研修という資格では、介護士の仕事内容や給料はどのように変わったのでしょうか?
介護職員初任者研修とは?
はじめにもご説明した通り、ホームヘルパー2級は介護職員初任者研修へと変更されました。
介護士の仕事を始めるなら、まず取得すべき資格がこの介護職員初任者研修です。
以前までは、ホームヘルパーや介護職員基礎研修を修了しても、その後のキャリアパスに決まりがなかったため、研修や資格が複雑化するなど問題視されていました。
しかし、介護職員初任者研修へ一本化し、ホームヘルパーを廃止。さらに、介護職員初任者研修の次に実務者研修を修了し、実務経験を3年以上積むことで、介護福祉士資格が取得できるようにキャリアパスを見直しました。
つまり、介護職員初任者研修を修了することが介護福祉士への第一歩であり、介護福祉士や介護職を長期間続けたい方にとっては登竜門といえる資格になります。
介護職員初任者研修の仕事内容とは?
介護職員初任者研修取得後の仕事内容は、どういったサービス形態で働くかで異なります。
訪問介護の場合
介護職員初任者研修取得者で最も多くの方が勤務しているのが訪問介護です。
訪問介護員として働く場合は、原則、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)以上の資格保有が求められます。
訪問介護では、高齢者や障がい者の自宅へ行き、料理や掃除などを行います。
利用者様の介護度が高い場合は、着替えや排泄の補助などの身体介護も行います。
1件当たり1時間ほどで、1日に何件か訪問することになります。
介護施設の場合
介護施設とは、特別養護老人ホームや短期利用のショートステイ、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅といった施設のことで、こうした施設に入居している利用者様の生活援助や身体介護が主な仕事となります。24時間365日体制で介護を行うため、早番、遅番、夜勤といった三交代制(シフト制)となっており、その時間の中で利用者様に変化がないか観察しながら、食事、排泄、入浴などのサポートを行います。
利用者様の中には、認知症、疾病がある方、感染症をもった方など様々な方がいるので、それぞれに合った介護を行います。
働くにあたって介護職員初任者研修の資格は必須ではありませんが、近年では何かしらの資格保有を重視している求人が増えています。
その他の職場
「訪問介護」や「介護施設」の他に、デイサービス(通所介護)や病院で勤務することもあります。
デイサービスでは身体介護だけでなく、送迎やレクリエーションの実施があります。レクリエーションは介護職員が実際に考えることが多いようです。
また、病院では看護助手として看護師の補助をする業務が多く、食事や排泄の介助など身体介護が中心となっています。
介護職員初任者研修の給料は?
介護職員初任者研修の月収は15~20万円ほどと、あまり高くはありません。
ボーナスの支給もあまり期待できるものではなく、年収は平均333万円と、業務内容が大変な割には低くなっています。
介護施設勤務であれば夜勤があるため、他の勤務地よりも給料が多めになるようですが、交代制であり、他の勤務地よりも勤務時間が長いため、重労働であると言えます。
訪問介護は、1時間から勤務することが可能で、1日の訪問件数も数件で済むため、時間や予定の融通が利きます。
さらに、デイサービスであれば営業時間があるため勤務時間が8時から18時までの間となり夜勤はありません。
勤務時間が短かったり、夜勤がないため給料はさほど高くはありませんが、主婦で時間に融通が利くことが条件であったり、体力に自信がない方には、訪問介護やデイサービスがおすすめです。
アルバイトやパートの給料は時給800~1000円ほどで月収15万円ほど。夜勤手当や資格手当などあっても、全体で見てみると給料は低いのが現実のようです。
給料をアップさせるためには、介護職員初任者研修の次に実務者研修、そして介護福祉士を目指すことが求められます。
介護職員初任者研修の資格取得について
以下の3つがホームヘルパー2級から介護職員初任者研修へ改訂され、資格取得のために変更となった点です。
- 施設実習時間
- 実技実習時間
- 筆記試験の有無
以前は、30時間の実習時間がありましたが、現在はなくなり、代わりに実技時間が増えました。
また、新たに「認知症の理解」、「障害の理解」がカリキュラムに追加されました。
そして、以前は必要のなかった筆記試験が必要となりました。現在では実習修了後に試験を受けることになっています。
変更点を見ると、基本を学ぶことを優先し、実習よりも筆記試験に重点を置き直したようです。
今後、介護職員初任者研修は重要な資格になる
ホームヘルパー2級から介護職員初任者研修へと変更された背景には、介護職員の離職率の問題や高齢化問題がありました。
高齢者の数は増加し続け、それに伴い介護が必要となる人も増えてくるため、必然的に介護福祉士をはじめとした専門職員は重要な存在となってきます。
今から介護職員初任者研修を取得し、現場での経験を積んでおくことは強みになります。
高齢化が進んでいる日本において、介護職員初任者研修は注目を浴びる重要な職種となってくるでしょう。